山口十境詩―温泉春色<湯田>
温泉春色<湯田>
山川秀孕陰陽炭 山川(さんせん)秀孕(しゅうよう)たり陰陽の炭
天地鋳成造化炉 天地鋳成せり造化の炉>
誰献玉鷗天寶後 誰か献じけむ玉鴎(ぎょくおう)天宝(てんぽう)の後
派分春色至東隅 派分(はぶん)して春色東隅に至る
この地(湯田)の自然(山川)は姿が優れてふっくらとしている。
これは陰の気と陽の気とが激突して流れ出る溶岩が作り上げた結晶である。
天地万物は天然の溶鉱炉の中で鉱物を溶かし鋳型にはめて作り出された物なのだ。
(それにしても)一体誰が玄宗皇帝の治世の天宝の後までも美しいユリカモメを献上したのだろうか。
それが派かれ分かれてついには東方の国、日本の一隅にまで飛んできて周防の湯田の川面にその可憐な姿を浮かべ春景色を美しく描き出している。
湯田温泉の温泉街の真っただ中「松政」と「松田家旅館」の境界部分、旧国道の歩道の内側に石碑が建っています。傍には「足湯」があり観光客が寛いでいますが、この十境詩の存在にはあまり興味を示してはいないようでした。
参考図書 かがやける大内文化の精華−山口十境詩考−
荒巻大拙 著(荒巻氏は小生の高三時の担任でした。)